光学ズームとデジタルズームの違い

基礎知識

コンパクトデジカメやレンズ交換式カメラ(一眼レフやミラーレス)などはズームレンズを使って被写体を大きく写すことができます。

これを「光学ズーム」と言います。

一方、スマートフォンで写真を撮る時に、被写体を大きく写すためにピンチアウト(指で画面を拡大)してズームすることはありませんか?

これは「デジタルズーム」と言います。

では、光学ズームとデジタルズームは何が違うのでしょうか?

実はデジタルズームをすると画質が悪くなってしまうことがあるんです。

光学ズームとデジタルズームの違いを理解しておくと、撮影時に最適な方法で画質を損なうことなく撮影ができるようになります。

今回はこの光学ズームとデジタルズームの違いについて説明します。

光学ズームとは

下の写真は僕が使っているキャノンのコンパクトデジカメS120です。

レンズのスペックに「5.2-26.0mm」と書いてあります。

これは「レンズの焦点距離が5.2mmから26.0mmまでズームで使えますよ」という意味ですが、センサーがフルサイズではないので35mm換算(フルサイズ換算)にする「24mmから120mm」になります。

つまりこのカメラは35mm換算値で24mmから120mmまでの焦点距離の範囲で撮影できます

*レンズの焦点距離や35mm換算値については「35mm換算を含めてレンズの焦点距離・絞り・被写界深度を理解する」参照

35mm換算を含めてレンズの焦点距離・絞り・被写界深度を理解する

2019年7月15日

このようにレンズの焦点距離を変えることで写る範囲が変わる場合には「光学ズーム」と言います。

デジタルズームとは

光学ズームとは異なり、レンズの焦点距離を変えずに、センサーに写っている画像の中央部分を切り取って、あたかもズームして拡大しているかのように見えることを「デジタルズーム」と言います。

スマートフォンは一般的に単焦点レンズですから光学ズームができません。

しかし、画面をピンチアウトすることで、拡大して写真が撮れるのはご存知の通りかと思います。

これがデジタルズームです。

勘のいい方はお気づきかもしれませんが、デジタルズームはセンサーの中央部分しか使わない(周囲に写っている部分を捨てている)ので、画素数が下がってしまうのではないかと想像できると思います。

確かに昔はそうだったと思います。

しかし、現在は「画像補完」という技術を使って、減ってしまった分の画素を周囲の情報から補うことである程度画素数を回復させることが可能です。

記録する時には写真の周囲を削ってしまいますが、補完する際には写っている部分の隙間を広げてそこにデータを補完して写真のサイズを元に戻すようなイメージです。

*画像補完については「スマホもパソコンもテレビも実は3色しか使っていない」参照

スマホもパソコンもテレビも実は3色しか使っていない

2019年7月4日

僕はなんとなくこのくらいの知識を持っていたのですが、この記事を書くにあたりサンプル写真を撮ってみたら、驚くべきことに今回使用したiPhone7、キャノンS120ともに、デジタルズームで削ってしまった画素は全て補完して、本来のセンサーの画素数と全く同じ画素数まで復元していることがわかりました。

iPhone7のデジタルズーム

それではiPhone7を使って、デジタルズームをすると画質がどうなるかをみてみましょう。

まずはiPhone7のカメラのスペックを確認しておきます。

iPhone7カメラスペック
・焦点距離:3.99mm(35mm換算28mm)
・F値:f/1.8
・画素数:1200万画素(4032×3024)
・デジタルズーム:5倍

デジタルズームをせずに撮った写真。

iPhone7:ズームなし(4032×3024)で記録

iPhoneに保存されている状態では1200万画素(4032×3024)ですが、このブログでは見やすいサイズ(横幅600ピクセル)にリサイズしています。

なので、実際にリサイズしない場合はどのように見えるかを理解するために、上の写真の中央付近を横幅600ピクセル(600×400)で切り取ってみます。(この画像は画像補完されていません)

iPhone7:ズームなし(4032×3024)で記録したものの中央部(600×400)

 

続いて、上の写真を撮った時のカメラ位置を変えずにデジタルズーム(ピンチアウト)して最大倍率(5倍)で撮影してみました。(この画像は画像補完されています)

iPhone7:5倍デジタルズーム(4032×3024)で記録

先ほども書きましたが、最大倍率(5倍)でデジタルズームして記録しても1200万画素(4032×3024)だったのは僕も驚きました。

この写真は1200万画素(4032×3024)ですが、ほぼ同じ画質に見える一つ上の写真(デジタルズームしないで撮影した写真の中央部を切り取ったもの)は24万画素(600×400)しかないことに注目。

そして同様に中央部の600×400を切り取ってみます。

iPhone7:5倍デジタルズーム(4032×3024)で記録したものの中央部(600×400)

ここまでくるとさすがに画像が荒れているのが確認できます。

これは、デジタルズームをしたことで画素数が減った分(実際には存在しないデータ)を画像補完で補っているためと思われます。

しかし、デジタルズームして撮影した写真をこのようにさらに拡大(トリミング)して使うようなことをしなければ気にならないレベルなのではないでしょうか?

これは明るい条件で撮影したサンプルですので、もっと暗い条件などで撮影すればよりザラザラ感が目立ってくると思います。

しかし、撮影条件さえ良ければデジタルズームをしてもPC画面などで見る分にはあまり気にならないレベルなのではないかと思います。

僕は今までデジタルズームは画質が下がるので基本的には使わずに、光学ズームだけで撮影した画像をトリミング(拡大)して使うようにしていましたが、今回このように試してみて、改めてデジタルズームの性能を見直しました。

キャノンS120の光学ズーム+デジタルズーム

続いてキャノンS120でテストしてみました。

キャノンS120スペック
・焦点距離:5.2-26.0mm(35mm換算24-120mm)
・F値:f/1.8-5.7
・画素数:1200万画素(4000×3000)
・光学ズーム:5倍
・デジタルズーム:4倍(光学ズームと合わせると20倍)

ズームの倍率は24mmから120mmまでが5倍(120/24=5)なのでズーム倍率は5倍と言います。

また、コンパクトデジタルカメラの場合には光学ズームに加えてデジタルズームも使える場合が多いのです。(S120の場合にはRAW記録にするとデジタルズームが使えなくなります)

ではまず24mm(広角側)で撮影。

キャノンS120:24mm(4000×3000)で記録

SDカードに保存されている状態では1200万画素(4000×3000)ですが、このブログでは見やすいサイズ(横幅600ピクセル)にリサイズしています。

まず気になるのが同じ日に同じ被写体を撮影したのにiPhoneで撮影した画像よりも色味があっさりしていませんか?

ですが、実際にはこの色の方が現実に近くてiPhoneの方が色が濃い(彩度が高い)です。

これは、「仕上がり設定で好みの写真に近づける」でも書きましたが、彩度が高い方がパッと見の印象がよくなるので、iPhoneの戦略だと僕は思っています。

仕上がり設定で好みの写真に近づける

2019年7月23日

ちなみに、彩度を上げるのは後からでもできますので、僕は現実に近いこちらの方が好みです。

それでは、iPhoneの時と同様にリサイズしないでどのように見えるかを確認するため、中央付近を600×400で切り取ってみます。

キャノンS120:24mm(4000×3000)で記録したものの中央部(600×400)

iPhone7の時と同様に、画像補完されていないので実際のサイズで切り取っても十分にキレイな画像です。

 

続いて光学ズームして120mmで撮影。

キャノンS120:120mm(4000×3000)で記録

さらに中央部を600×400で切り取り。

キャノンS120:120mm(4000×3000)で記録したものの中央部(600×400)

これを見るとiPhoneとの画質の違いが一目瞭然なのではないでしょうか?

だってこの写真は光学ズームなので画像補完していませんから、中央部を切り取って拡大してもキレイなんです。

さらにS120ではここから4倍のデジタルズームが可能です。

撮影時には光学ズームとデジタルズームの境目がわかるようになっています。

 

まずは光学ズームと合わせて10倍で撮影。

キャノンS120:120mm+2倍デジタルズーム(合計10倍)で記録(4000×3000)

先ほども書きましたが、デジタルズームをしても画像補完をして元の画素数(1200万画素)になります。

この写真から中央部を600×400で切り出し。

キャノンS120:120mm+2倍デジタルズーム(合計10倍)で記録(4000×3000)したものの中央部(600×400)

 

そして最後は最大倍率(20倍)で撮影。

キャノンS120:120mm+4倍デジタルズーム(合計20倍)で記録(4000×3000)

 

中央部を600×400で切り出し。

キャノンS120:120mm+4倍デジタルズーム(合計20倍)で記録(4000×3000)したものの中央部(600×400)

 

どうでしょうか?

やはりデジタルズームをした場合にはiPhoneと同様に拡大した時のザラつき感が僕は気になります。

まとめ

光学ズームとデジタルズームの違いがわかりましたか?

デジタルズームは被写体を大きく写す手段としては便利ですが、撮った画像を拡大してみる場合には画質がちょっと悪くなってしまうことがあります。

SNSなどのWEB上(液晶画面)で見る程度ならあまり気になりませんが、大きくプリントする場合などはデジタルズームを多用しない方が良いかもしれませんね。

あなたが撮影した写真をどのように使うかによって、デジタルズームを使ってまで拡大する必要があるのかを考えながら最適な方法を選ぶと良いと思いますよ。

注意
この記事ではわかりやすさを優先していますので、必ずしも正確な表現をしていないことや、あえて説明していない部分などもありますのでご了承ください。