仕上がり設定で好みの写真に近づける

基礎知識

あなたはカレー甘口と辛口どっちが好きですか?

ひょっとして超激辛好みとか?

料理の味付けには好みがあるとはいえ限度があって、一般的に「美味しい」と言われるような味付けってありますよね?

超激辛を好む人もいますが、全体からしたらおそらく少数派でしょう。

写真も一般的に「キレイ」と思われる基本的な仕上がりはあります。

そしてその中でも人それぞれ好みがあるんです。

そんな好みこそが「あたなの個性の出ている写真」です。

このように、一般的な範囲から大きく逸脱しないで「あなたの好み」の写真にする機能の一つが「仕上がり設定」です。

「仕上がり設定」を撮影状況やあなたの好みに応じで上手に使うことで、ただシャッターを押して撮っただけでなく、そこにあなたの個性(味付け)が加わります。

今回はこの仕上がり設定について説明します。

画像処理エンジン(コックさん)の仕事(おさらい)

RAWデータはカメラ内の画像処理エンジンによってJPEGとして保存される」と言う記事で写真をカレーライスに例えましたがデジタルカメラで撮影すると、

・RAWデータ(カレーライスの食材)が出てくる
・画像処理エンジンというコックさんがRAW現像(料理)をする
・JPEG形式(カレーライス)で保存される

と言う流れで写真が出来上がりました。

もちろん自分で現像(料理)しても構いませんが、せっかくカメラ内に優秀な画像処理エンジン(コックさん)がいるのだから、使わない手はないと言うのが僕の考えです。

で、この画像処理エンジン(コックさん)はとても優秀なので、多くの人に受け入れられる美しい写真(おいしいカレーライス)を作ってくれます。

RAWデータはカメラ内の画像処理エンジンによってJPEGとして保存される

画像処理エンジン(コックさん)にはあなた好みの細かい注文が可能

実は撮影時に画像処理エンジンにいくつか注文をすることが可能です。

具体的には露出補正仕上がり設定ホワイトバランスなどがあります。

どれも「ただ単にシャッターを押すだけ」とは異なり、あなたが意図して設定できるのであなたの個性が出ます。

露出補正は写真の明るさを調整する機能で既に記事にしてあります。

露出補正を使いこなしてあなたにとっての適正露出で撮影する

そして今回説明するのは「仕上がり設定」です。(ホワイトバランスはまた別の機会に説明します)

仕上がり設定は「色の派手さ」の設定で、料理に例えると味を濃く(辛く)したり薄くたりするような感じだと思ってください。

この色の派手さのことを「彩度」と言ったりします。

この彩度を上げたり下げたりすることで、写真の色が濃くなったり淡くなったりします。

実際のカメラの設定では、メーカーのプログラムによって単純に彩度を上下しているだけではないかもしれませんが、なんとなくそんな感じだと思って差し支えありません。(自分で設定をカスタマイズすることもできます)

そして各メーカー自慢の画像処理エンジン(優秀なコックさん)による調整ですから、一般的に受け入れられるレベルから大きく逸脱するようなトンチンカンな設定にはなりませんので安心して変更できます。

ちなみに画像処理エンジンに任せずに自分で現像する場合にはいくらでも極端に調整できるので「超激辛」みたいな一般的には受け入れづらい過激な色味なども可能です。

何れにしても好みや許容範囲も人それぞれですので、どれが正しいと言うことはありません。

個人的に楽しむのであれば何もやっても構いませんが、あなたが撮った写真を「他人が」キレイな写真だと感じるようにするには、極端な設定変更は好まれないとは思いますよ。

具体例を見てみましょう

では具体的にどのくらい変わるかを同じ写真で比べてみましょう。

ニコンのカメラの場合、仕上がり設定はピクチャーコントロールと呼ばれます。
(メーカーによって呼び名は異なりますが、ピクチャースタイル、ピクチャーコントロール、ピクチャーモード、クリエイティブスタイルなどなんとなく同じような表現なのですぐにわかると思います)

*各ピクチャーコントロールをカスタマイズ(微調整)することも可能です。

 

【風景写真の場合】

ピクチャーコントロール:スタンダード

標準的な彩度です。

 

ピクチャーコントロール:風景

一般的な風景写真に適したように彩度が少し上がります。

 

ピクチャーコントロール:ビビッド

「ピクチャーコントロール風景」に比べるとさらに彩度が高くなります。

 

ピクチャーコントロール:ポートレート

ポートレート(人物写真)に適した設定です。

 

どうでしょうか?

ピクチャーコントロール(仕上がり設定)を変えることで写真の鮮やかさが変わりますよね?

料理に例えると、普通味から濃い味付けに変わっていく感じです。(ポートレートは逆で人物の肌の色を落ち着いた感じで表現するために少し彩度を下げているようです)

では次に人物写真(ポートレート)で比べてみましょう。

 

【人物写真の場合】

ピクチャーコントロール:スタンダード

 

ピクチャーコントロール:風景

 

ピクチャーコントロール:ビビッド

 

ピクチャーコントロール:ポートレート

 

いかがでしょうか?

一般的には風景や色鮮やかな写真の場合は彩度を上げるとより色を強調できて効果的ですが、人物の場合には逆に少し落ち着いた色味の方が肌の雰囲気が良くなります

好みは人それぞれなのでどんな仕上がり設定でも構いませんが、仕上がり設定の範囲内ではこの程度の変化です。

そして彩度を上げる場合、特に注意しなければならないことがあるんです。

濃い味に慣れないように!

例えば辛いカレーライスが好きな人は、舌が辛さに慣れてしまってどんどん辛さを上げないと気が済まなくなりますよね?

写真も同じように彩度の高い写真に目が慣れてしまうと、その次にはもっと彩度の高い写真を好むようになってしまいます

特にSNSとかで目立った写真にしたいと思うようになると、どんどんエスカレートしてしまいます。

これから彩度を徐々に上げていきますので、どのくらい彩度を上げたのが「あなたの好み」か、ゆっくりスクロールして見ていってください。

 

スタンダード









彩度↑









彩度↑↑









彩度↑↑↑









彩度↑↑↑↑









彩度↑↑↑↑↑









スタンダード(始めの写真と同じです)

 

最後に再び始めの写真を見ると、すごくあっさりして物足りなく感じませんか?

この感覚に陥ってしまうと正常な判断ができなくなります。

なので、僕は画像処理エンジンに任せることをオススメしているんです。

初心者の方が自分で現像して彩度を上げていくと感覚が麻痺してしまい、彩度が超高くないと満足できなくなってしまう恐れがあります。

これでは、他の人があなたの写真を見て「キレイだ」とは思ってくれないかもしれません。

なので、いつでも正しい判断ができるように普段はスタンダードで撮影して、場面に応じて少しだけ彩度(味付け)を変えるくらいで十分だと思います。

なんでもやり過ぎは良くないでしょ。

彩度を上げ過ぎると「トーンジャンプ」と言ってグラデーションの滑らかさが失われて段階的な表現になってしまいます。(またいつか改めて記事にします)

僕も普段はスタンダードで、例えば風景を撮る時に少し鮮やかにしたいな、と思ったら仕上がり設定を風景にしますが、それ以上鮮やかになるビビッドまでは上げません。

なぜなら、彩度や明るさは撮影後にもレタッチで修正することも可能だからです。

だからと言って、僕は積極的にレタッチをするわけではありませんけど。

前にも言いましたが、僕は「JPEG派」で撮影時にできるだけイメージに近い写真を撮るように心がけています。

なので、もしレタッチの必要があってもほんの少しいじる程度です。

撮影時には目の前に本物の風景が広がってるんだからそれが一番のお手本です。

家に帰ってPCの画面で色々と調整するよりも、今目の前にある被写体を見てイメージを沸かせてそれに近い写真をその場で撮ってしまった方が僕には効率がいいんです。

エフェクトとは違うの?

写真を撮ったあと、エフェクト(メーカーによっては違う呼び名もあるかも)といって好みの仕上がりに加工にする機能を持っているカメラも多いです。

例えばインスタグラムに投稿する時にも写真の雰囲気を変えられますよね?

あれは仕上がり設定と似ていますが、少し違うように思います。

仕上がり設定は元の画像の雰囲気を大きく変えるようなことはせずに、彩度を少し上げたり下げたりする程度です。

エフェクトにもそのような雰囲気を少しだけ変える設定もありますが、もはや写真とは言えないほど加工してしまうエフェクトもあります。

そして、撮影後の写真にエフェクトをかけた場合には、元の画像はそのまま残り、エフェクトをかけた後の画像が新たに保存されます。

これも写真の楽しみの一つなので、僕もよく使います。

メーカーによって様々なエフェクトがあるのでカメラを選ぶ参考にもなると思いますよ。

まとめ

それでは今回の内容をまとめます。

・仕上がり設定を変えることで彩度(鮮やかさ)を変えることができる
・撮影前に自分のイメージに合った仕上がり設定を選ぶことができる
・風景写真の場合には彩度が高めだといい雰囲気になることが多い
・人物写真の場合には彩度が少し落ち着いている方が肌の質感がいい雰囲気になることが多い
・何れにしてもやり過ぎはよくない

注意
この記事ではわかりやすさを優先していますので、必ずしも正確な表現をしていないことや、あえて説明していない部分などもありますのでご了承ください。