スマホもパソコンもテレビも実は3色しか使っていない

基礎知識

液晶画面で見るデジタル写真は様々な色を表現していますが、実際には光の3原色と言われる3つの色を基にして全ての色が表現されています。

そして実はイメージセンサーの画素(フォトダイオード)は、そのたった3色の「色」でさえ識別することができず、光の強弱しか記録できないんです。

光の強弱しか記録できない(モノクロ)センサーなのに、どうやってカラー写真にしているのか?

あなたも日頃はそんなこと意識せずに簡単に写真を撮っちゃってると思いますが、実はデジタルカメラはカラー写真を作るために割と複雑なことをやっています。

これを知っていても人生でそんなに得することはないかもしれませんが、今回はそんなデジタルカメラ内でカラー写真が作られる仕組みをわかりやすく説明してみます。

光の3原色

光の3原色」という言葉を聞いたことがあるかもしれませんが、光で表現するデジタル写真は赤(Red)・緑(Green)・青(Blue)の3色からできています

スマホ、テレビ、パソコンなどの液晶画面を光らせて表現する場合、この3色を様々なパターンで混ぜ合わせることで、全ての色を作り出すことができます。

ちなみに全てを100%で混ぜ合わせる(光らせる)と「白」つまり画面が真っ白になります。

パソコン画面の白い部分を虫眼鏡などで拡大してみるとわかるかもしれません。

私は子供の頃、「テレビってどうやって映ってるんだろう」と思ってめちゃくちゃ近づいて観察したことがるのですが、赤緑青の3本の短い線が並んでいたのを確認した覚えがあります。

でも離れてみると普通の映像に見えるんですよね。

要するに写真や映像などは、ものすごく近づいてみると全ては小さな点の集まりで色や形を表現してるってことです。

 

ちょっと話が逸れますが、紙に印刷するインクの場合は赤緑青の3原色ではありません

だって、普通に考えたら赤と緑と青の絵の具を混ぜても白になりませんよね。

紙などに印刷する場合には下記の3色を使います。

シアン(C)・マゼンタ(M)・イエロー(Y)

これを「色の3原色」と言います。

プリンターのインク交換の時にこれらの名前を見たことありませんか?

ただ、印刷の場合は黒をしっかり表現するために追加で黒いインク(K)を使います。(BではなくKと表現されるのはBlueと間違えないようにするためです)

でもなぜか3原色と言われています。

他にもメーカーによってはいくつかのインクを追加して、よりリアルに色を再現する場合もあります。

イメージセンサーの画素はモノクロ

話をデジタル写真に戻しましょう。

イメージセンサーの記事で書きましたが、画素(フォトダイオード)は光の量(強弱)に応じた電気信号を出すだけの機能しかありません。

フルサイズのイメージセンサー(撮像素子)でなければダメなのか?

そこで、各画素に色のついたフィルターを被せます。

こうすることで、赤いフィルターを通った光、緑のフィルターを通った光、青いフィルターを通った光、と3色の成分に分けることができ、それぞれの光の強さの強弱も記録することができるようになります。

実際には一般的なセンサーは「R:G:B=1:2:1」でベイヤー配列と呼ばれる並び方でフィルターが並んでいます。

緑のフィルターが多いのは、人間の目と機械の感じ方が異なるので、目で感じた画像と機械(イメージセンサー)で記録する画像を近づけるためと言われています。

それじゃあ、

例えば2,000万画素のセンサーなら赤いフィルターを通ってきたのは500万画素しかないのでは?

という疑問が出てくると思います。

まさにその通り!

実際に赤と青は500万画素ずつ、緑は1,000万画素しかありません。

でもカメラのスペックでは2,000万画素となっています。

これはどういうことでしょうか?

ここで「画像補完」という考え方が出てきます。

画像補完

突然ですが問題です。

「□に当てはまる数値を答えてください。」

1・2・3・□・5・6・7

よほどの天邪鬼じゃない限り「4」と答えますよね。

これが補完です。

データがないものを前後の情報から予測する。

画像でも同じです。

データが足りない場所は周囲の情報から予測して「画像補完」することで、RGB各色それぞれを2,000万画素にして最終的には1枚の2,000万画素のカラー写真として記録されます。

普通に考えると、すぐ隣の画素で急に全く異なる色や明るさになることは少ないので、基本的には問題なく補完できます。

しかし、画素の大きさと同じくらいとても細密な表現の時や、規則的な模様が続くような場合には補完がうまくできないことがあります。

このような場合には、

偽色:実際にはない色の点が出てくる(非常に細密な表現の時)

モアレ:実際にはない模様が出てくる(規則的な模様の時)

といった問題が出てくることがあります。

このような問題を軽減するために、一般的なイメージセンサーの前面には「ローパスフィルター」といってワザと画像が少しだけボケて画素間をハッキリさせないようにするフィルターが付いています。

逆に、とにかくハッキリと解像したいという目的でローパスフィルターを持たないカメラも発売されてます。

さらに、そもそもベイヤー配列が規則的なのでこのような問題が起こるという理由からRGBの配列を変えているセンサーもあります。(FUJIFILM)

そして根本的に補完という考えをしないように、全ての画素に3色をフィルター効果を持たせたセンサーも存在します。(シグマのFOVEONセンサー)

と、いうように例外的なセンサーもありますが、基本的にはこれまでに説明してきたようなセンサーを搭載するカメラがほとんどです。

まとめ

それでは最後に要点をまとめます。

・デジタル写真は光の3原色によって全ての色が表現される
・画素自体(フォトダイオード)では色の識別ができないので、それぞれにRGBのフィルターが付いている
・各色のフィルターに分けると本来の画素数が足りなくなるが、画像補完という方法で存在しないデータを補っている
・最終的にはそのセンサーの画素数分のRGB各データをとりまとめてカラー写真として記録される

注意
この記事ではわかりやすさを優先していますので、必ずしも正確な表現をしていないことや、あえて説明していない部分などもありますのでご了承ください。