ホワイトバランス(WB)に正解はない

基礎知識

ちょっと想像してください。

あなたも普段使っているA4のコピー用紙。

何色ですか?

もちろん「」と答えますよね?

では、同じ紙を常夜灯(部屋で寝る時につけるオレンジ色の電球)の下で見たら「あなたは」何色と答えますか?

たった今「白」と答えた同じ紙なので「」と答える人もいれば、「オレンジ色」と答える人もいるでしょう。

同じモノなのに人によって違う色に見えるのは困りますよね?

これは今回のテーマである「ホワイトバランス(WB)」を理解していると説明できます。

ホワイトバランス(WB)をしっかり理解できると、撮影時に「あなたにとって」最適な設定を行うことが可能になります。

今までホワイトバランス(WB)ってよく聞くけど、なんだかよくわからなかったあなたへわかりやすく説明します。

ホワイトバランスは好みでOK

結論から言うと、ホワイトバランスはあなたの好みでOKです。

ホワイトバランスを変えながら撮影してみて、「あなたがいい感じ」だと思う設定にして問題ありません。

簡単でしょ?

それでいいんです。

安心してください。

写真を楽しむ場合には正しい答えなどありません。

ですが、商品を売ったりする時だけは正しいホワイトバランスが存在します。

正しい色が必要な場合

それは、インターネットやパンフレットなどで商品を紹介する時です。

ネットやパンフレットをみて注文した商品を受け取った時に思っていた色と違ったら困りますよね?

そのような時は実際の色と写真の色が同じでなければなりません。

冒頭で述べたように人によって見え方が異なるのは問題となるんです。

では、冒頭のA4コピー用紙は何色か?

と言われるとやっぱり「白」ですよね。

これは自然光(太陽光)や部屋の中など、いわゆる明るい場所で見ている時間が長いので、その時の色を「白」と認識しているから。

その常識が頭の中にあるため、常夜灯の下で見た時に「オレンジ色」に見えていても「白」と答える人がいるんです。

そこで、見ている(撮影している)光源が異なっても写真としては実物と同じ色に写したい時にだけ、ホワイトバランス(WB)を撮影時の光源に合わせる必要があります。

具体的にはホワイトバランス(WB)を、

・太陽の下で撮影する時:自然光(太陽光)
・室内(蛍光灯)で撮影する時:蛍光灯(種類があります)
・常夜灯の下で撮影する時:電球

に設定すると、あなたが思う「白」が白く写ります。(常夜灯の下でオレンジ色に見えてもオレンジ色には写りません)

ちなみにホワイトバランスは「色温度」として数値化もされていて○○K(ケルビン)と表現されることもあります。

色温度を低く設定すると常夜灯のようなオレンジ色の光源の下で白いものが白く写り、高く設定すると青白いような光源での下で白いものが白く写ります。

ただし、例えば部屋の中で撮影する時には窓からは太陽光が、天井からは蛍光灯の光がくるので混ざっています。

これを「ミックス光」などと言いますが、ほとんどの場合が一つの光源ではなくミックス光ですよね。

さらに、撮影した「写真を見る時の光源」も人によってマチマチです。

そんなわけで、厳密に合わせることなど不可能に近いんです。

と、そのあたりのことは商品撮影のプロに任せて、あなたは「あなたの写真」を撮ればいいんです。

では、実際に同じ被写体でホワイトバランス(WB)を変えるとどうなるか見てみましょう。

ホワイトバランス(WB)を変えてみる

撮影場所は夜のバー、店内の光源は常夜灯です。

ホワイトバランス:電球(3000K)

 

ホワイトバランス:白色蛍光灯(4200K)

 

ホワイトバランス:自然光(5200K)

 

ホワイトバランス:昼光蛍光灯(6500K)

 

どうでしょうか?

店内に入った時に実際に肉眼で見えるのは「白色蛍光灯」か「自然光」くらいのややオレンジがかった感じです。(普段はその光源の下で生活してますからね)

そして実際のグラスの色などは「電球」で撮影した時の方が近いでしょう。

商品撮影でない限り、あなたの好みで全く問題ありません。

ホワイトバランス(WB)を調整する時のイメージとしては、常夜灯などのオレンジ色っぽい光源の時に肉眼では白がオレンジっぽく見えているけど、撮影時の色温度を低く設定することで写真に青っぽいフィルターがかかり、オレンジと青が打ち消されて普通の色になります。

逆に、明るい場所(自然光や室内)で色温度を低く(電球)すると、写真が青みがかって写ります。(元々普通に見えている色に青いフィルターだけがかかる感じ)

ザックリとこんな感じになるのを参考にして、あとは「あなたのさじ加減」次第で大丈夫。

ホワイトバランス(WB)のオートって?

ホワイトバランスにもオートがありますが、これはちょっと面倒です。

なぜならこれまでに述べたように、人によって「白」の感じ方が異なるから。

一昔前のオートホワイトバランス(AWB)は「白いモノは白く」が正しいとして自動的に色温度を変える仕組みでした。

ですが、最近のカメラは「その場の雰囲気も残す(目で見た感じに近く)」という方向でのオート機能が主流です。

中には2種類(もしくはそれ以上)のオートホワイトバランスがあって初心者は混乱するばかりです。

そしてもう一つ僕がオートを使っていて困るのは「再現性がない時がある」からです。

再現性とは同じ写真を同じ設定で撮影したら同じ結果になることですが、オートホワイトバランスを使った際に、1枚目と2枚目の雰囲気が異なってしまうことがあるのです。

これは、シャッターを切るごとに毎回カメラが判断してホワイトバランスを決めるからです。

このように同じことをしているハズなのに違う結果が出てしまうと、JPEGで撮影時に最終的なイメージまで追い込む場合に困るんです。

でも、だからと言って僕はオートホワイトバランスを全く使わないわけではありません。

ミックス光で光源がわかりづらい時にはオートホワイトバランスでうまくいくことも多いからです。

普段はとりあえず見た目に近く写る自然光にしておいて、ミックス光で思い通りのイメージにならない時にはオートを試す、と言うような使い方が多いです。

実はホワイトバランスだけはJPEG画像をレタッチすることができないんです。

逆に言うと、RAWで撮影していればホワイトバランスは現像時にいくらでも変更可能です。

でもここまで理解しているあなたなら、その場に応じた最適なホワイトバランスを選ぶことができるでしょう。

そしてそれは「白いものを白く撮る」ことが正しいのではなく、あなたがいいと思った雰囲気で良いのです。

まとめ

なんとなくわかりづらいような気がするホワイトバランスについて書いてきましたが、結局のところ時代の流れなどにも左右されたりして(一部のプロを除き)正解はありません。

あまり深く考えすぎることなく、雰囲気重視で良いと思います。

・ホワイトバランスは撮影時の光源に合わせることで白いものを白く写す機能
・だからと言って、忠実に光源に合わせて白いものを白く写す必要はない
・その場の雰囲気を残す方が自然な感じになる
・自分で良いと思った設定にすれば良い

注意
この記事ではわかりやすさを優先していますので、必ずしも正確な表現をしていないことや、あえて説明していない部分などもありますのでご了承ください。