ISO感度を理解して絞りとシャッタースピードのバランスを考える

基礎知識

写真の「明るさ」を決めるのはたった3つの項目です。

これまでに学んできた「レンズの絞り」と「シャッタースピード」そして今回のテーマである「ISO感度」です。

フィルム時代には一度カメラにフィルムを装填したら、基本的にはそのフィルムを使い切るまで同じISO感度でしたが、デジタルカメラは1枚ごとにISO感度を変えることができます

これはフィルム写真をやっていた人からすると極めて画期的なことなんです。

ISO感度についてしっかり理解できていれば、その時の状況に応じた最適なISO感度を設定して、質の高い写真を撮ることができるんです。

そんな「ISO感度」をあなたはどのくらい理解していますか?

例えば「高感度で撮影する」と言ったりしますが、これって場合によってはあまり良いことではないんですよ。

ISO感度とは

ところで「ISO感度」あなたはなんて読みますか?

僕は「アイエスオーカンド」と言いますが、中には「イソカンド」と言う人もいます。

まあどっちでも良いと思うんですけど、ダイバーの僕は「イソカンド」と言われると「磯感度」と言う漢字を思い浮かべてしまうんですよね。

さて、デジタルカメラの場合ISO感度とは「センサーが光をとらえる能力を表す値」などと言われます。

そう言われて意味わかりますか?

例えば「ISO100と1,600では1,600の方がより光をとらえる」と言うことになりますが、それなら「ISO感度は高い方が良い」と思っちゃいますよね。

でも「ISO感度を上げるとノイズが出てザラザラするからあまり良くない」とも聞いたことがあるでしょう。

「じゃあ、どっちがいいの?」ってことになりますよね。

なので僕はまたカップに例えて説明します。

ISO感度をカップの大きさに例えると・・・

フルサイズのイメージセンサー(撮像素子)でなければダメなのか?」と言う記事ではセンサーの1画素をカップに例えました。

フルサイズのイメージセンサー(撮像素子)でなければダメなのか?

カップが大きい方が入ってきた光の量を正確に測れるので小さいカップに比べると誤差が少なくなります。

 

そして画素数が同じならセンサーが大きい方が大きなカップを並べることができるので画質がよかったんでしたよね。

 

ここまで理解した上で、ISO感度を変更すると言うのは「画素数もセンサーサイズも変えないでカップの大きさを変える」と考えてみてください。

このイラストを見ると、低感度の方が大きなカップを使えるので画質が良いと言うことがイメージできますか?

そして、高感度にするとカップが小さくなるので、光の量が少なくても(簡単にカップを満たすことができるので)撮影ができる代わりに一つ一つの誤差が大きくなるので画質が低下する

ISO感度を上げたり下げたりすると言うことは「カップの大きさを変える」ことに置き換えるとイメージしやすいのではないでしょうか?

一般的なデジタルカメラの最低感度は100前後です。

これはそのカメラのセンサーサイズにできるだけ大きなカップを隙間なく並べた状態で、最も正確に量を測れる、つまり最も高画質な状態です。

最高感度はカメラによってかなり異なりますが、フルサイズだとISO100,000(10万)を超えるようなものまであります。

ここで注意しておきたいのは、コンパクトデジカメのISO100とフルサイズのISO100では同じ100でも元々のカップの大きさが全然違うので同じ画質にはなりません

だってフルサイズの方が大きなカップを使えるんでしたよね。

そしてISO100を200に上げると言うことは、カップの大きさを半分にすると言うこと。

そうなれば、今までの半分の光の量で同じ明るさで(カップを満たして)撮影できることになります。(暗くても撮れるということです)

半分、半分、半分、と、どんどんカップを小さくしていくのであれば、始めのカップが大きい方、つまりフルサイズの方が感度を上げられることも理解できると思います。

そして、例えばフルサイズのISO3,200とコンパクトデジカメのISO3,200でもフルサイズの方が画質が良い(ノイズが少ない)ということも理解しやすいのではないでしょうか?

あなたのゴールはどこですか?

ここまで書くと、「だったら画質のためにISO感度は最低で良いのでは?」という意見もごもっともです。

ですが、あなたのゴールは「ザラつきの少ない写真」ではなく「綺麗な写真」ですよね?

綺麗な写真というのは、ピントが合っていて、ブレていない、そしてノイズ(ザラつき)が少ないなど様々な条件が必要です。

ISOだけで考えると低い方がノイズが少ないのは間違いありません。

でもノイズばかり気にして、シャッタースピードが遅くなってブレてしまっては本末転倒です。

「ISO感度は低い方が良い」だけどシャッタースピードや絞りを適切にできずにブレたりピンボケになるくらいなら、少しくらいノイズがあってもブレてないピンボケしてない写真の方がいいに決まってます。

もし三脚があってどんなにシャッタースピードが遅くてもブレないのであれば、迷わずISO感度を最低にしても良いでしょう。

でも、手持ち撮影の場合にブレてしまうような状況なら、ブレないで撮影できるシャッタースピードになるまでISO感度を上げて、多少ノイズがあったとしてもブレない写真を撮るべきです。

例えば、フルサイズセンサーで最低感度が100の場合、カップを半分の半分の半分にすると8分の1の大きさになり、その時のISO感度は800です。

カップが8分の1の大きさになったので、光を入れる時間も8分の1ですみます。

つまり(絞りを変えなければ)シャッタースピードを8倍速くできるので、手ブレしにくくなります。

このくらいならカップの大きさもそれほど小さくはないのでノイズ(誤差)などもそれほど気になりません。

でもそこからまた半分の半分の半分、つまり始めの64分の1にするとISO6,400になります。

このくらいまで上げてしまうとノイズ(誤差)も多くなり、画質がザラザラしてくるのがわかってきますが、シャッタースピードはISO100の時の64倍にもなります。

これは僕の感覚での話ですが、フルサイズでこんな感じなので、元々のカップが小さいコンパクトデジカメやスマートフォンでのISO6,400はかなりザラザラになりますし、場合によっては800くらいからザラザラしてくるかもしれません。

このザラザラの許容範囲は人によっても異なりますし、その写真を使う場面(SNSなのか、紙に印刷するのか、自分のWEBサイトに大きく載せるのか、など)によっても異なります。

僕の場合はフルサイズを使う時にはISO800までなら躊躇なく上げることが多いですが、APS-Cを使う時には躊躇なく上げられるのは400までです。(APS-Cはフルサイズの半分の面積なので、画素数が同じ場合には計算上でも合いますね)

もちろん絶対にこれ以上上げないというわけではなく、ブレる心配などがある時には(少しザラザラしてしまうかもという意識を持って)ブレないで撮影できる条件まで上げます

夕方の薄暗い中で動くものを撮影するような場合には6,400まで上げることだってあります。(かなりザラザラしますが、撮れないよりはマシですから)

そしてもう一つ大切なことは、技術の進歩により新しいカメラほどISO感度を上げてもザラつきが少なくなってきていますので、単純に数値だけでは測れないのです。

あなたもご自身のカメラでISOを変えて撮り比べ「ここまではノイズを気にせず上げるけど、ここからはノイズが気になり始める」という自分の基準を探してみてください。

一度やっておくと撮影時に頭の中がスッキリしてISO感度の設定ができますよ。

35mm換算を含めてレンズの焦点距離・絞り・被写界深度を理解する

シャッタースピードをコントロールして「動き」を表現する

まとめ

それではISO感度についてまとめますが、レンズ(絞り)やシャッタースピードに比べるとそんなに難しくないですよね。

・ISO感度は低い方がノイズ(ザラつき)の少ない写真が撮れる
・だからと言っていつでも最低感度で使うと暗い時などは手ブレで良い写真にならない
・手ブレやピンボケの心配がない範囲で低く設定すると良い
・三脚などを使ってブレを防げれば最低感度(最高画質)で撮影できる
・ノイズを許容できる自分の基準を持っていると便利

注意
この記事ではわかりやすさを優先していますので、必ずしも正確な表現をしていないことや、あえて説明していない部分などもありますのでご了承ください。