カメラの種類と特徴を知れば自分に合ったカメラを選ぶことができる

基礎知識

世の中には星の数ほどカメラがあるのに、オリンピックなどのスポーツイベントや報道取材などのカメラマンのほとんどが似たような大きなカメラを持っています。

機動性に優れた軽くて小さいカメラもあるのに、どうしてあんな動き回るのが大変なほど大きなカメラを持っているのでしょうか?

プロカメラマンが大きくて重い一眼レフを使うのは、確実に目的を達成するためにはそれがもっとも合理的な近道だから。

今回はカメラの種類についてわかりやすく解説します。

趣味でカメラをやっている人は僕なんかよりもいいカメラを持っている人がたくさんいますが、目的が違えば道具も違います。

カメラは絶対にフルサイズじゃなきゃダメ!」とか言われてるけど「でも高いしなぁ」などとカメラを選ぶのに迷っているあなたのために、カメラの種類やそれぞれの特徴について、できるだけわかりやすく解説しますのでカメラ選びの参考になれば幸いです。

カメラをグループ分けしてみる

あなたの知っているカメラの種類をあげてください。

「まずはデジカメと・・・」

と思ったあなた、今話題にしているのは全てデジカメ(デジタルカメラ)ですよ。

多くの人が「デジカメ」と呼んでいるのはたぶんコンパクトデジタルカメラのことです。

もちろんデジタルカメラであることは間違ってないですが、一眼レフカメラやミラーレスカメラもデジタルカメラなんです。

なので、このサイトではコンパクトデジタルカメラのことを「デジカメ」ではなく「コンデジ」と呼びます

これで3種類出てきましたが、あと一つスマートフォンも仲間に入れてあげて全部で4種類出てくれば十分でしょう。

ウェアラブルカメラ(GoProなど)もありますが、あれはどちらかというと動画機能に特化しているので今回は仲間に入れません。

もちろん全てのデジカメで動画も撮れるので線引きが難しいのですが、今回は静止画(スチル写真)を撮るための道具として考えることにします。

というわけでデジタルカメラをグループ分けすると、

・一眼レフカメラ
・ミラーレスカメラ(一眼カメラやネオ一眼と言われることもあります)
・コンパクトデジタルカメラ(コンデジ)
・スマートフォン

の4種類に分けられます。

それではこれからそれぞれの特徴について説明していきます。

一眼レフカメラ

一眼レフカメラの特徴は、

・レンズ交換可能
・光学ファインダーがある
・センサーが大きい(画質が良い)
・デカい
・重い
・高い
・タフ(頑丈)

一眼レフカメラが他のカメラと決定的に異なるのは「光学ファインダー」があることです。

光学ファインダーとは、被写体をレンズ(ガラス)を通して直接見ることができるファインダーです。

レンズが見ている被写体(光)はまっすぐイメージセンサーに向かって入ってきますが、途中に斜めに置いてあるレフレックスミラーで反射され真上に向かいます。

そしてその上にあるペンタプリズム(五角形のプリズム)で何度か反射してファインダーで実際に見ることができます。

だから何?

と言われそうですが、このような仕組みを取ることでAF(オートフォーカス)つまり自動的にピント合わせをするのが早いんです。

この時のピント合わせの仕組みを位相差検知式と言いますが、言葉は覚えなくても良いでしょう。

また、常に光学的に被写体を見ているので、イメージセンサーにはシャッターを押した時以外は光が入ってこないようになっています。

そして、ピントを合わせてシャッターボタンを押した瞬間にレフレックスミラーが跳ね上がり、レンズから入ってきた被写体(光)がまっすぐイメージセンサーに向かいます

そこで初めてシャッターが開きイメージセンサーに光が当たるという仕組みです。

なので、この時にはファインダー内は真っ暗になります。

以上が一眼レフカメラの簡単な仕組みですが、

一眼(一つのレンズ)とレフレックスミラーを持っているので、一眼レフカメラと言います。

*最近の一眼レフカメラは「ライブビュー(LV)撮影」と言って、この後説明するミラーレスカメラと同じように背面の液晶画面に被写体を映し出してピント合わせや撮影することも可能です。

余談ですが、撮影用のレンズと被写体を確認するレンズが別々になっているカメラもあって、こちらは二眼レフカメラと言います。

さて、一眼レフカメラの構造と名前の由来がわかったところで、他の特徴も見てみましょう。

まずセンサーサイズはメーカーによって様々ですが、主にフルサイズ、APS-C、フォーサーズがあります

フルサイズとAPS-Cはニコン、キャノン、ソニー、ペンタックスなどよく知られている一般的なカメラメーカーが販売しています。

一方、フォーサーズはオリンパスとパナソニックの二社が独自に展開しているシステムで、面白いことにこの二つのメーカーの製品は規格を統一しているので、レンズの使い回しが出来るんです。

例えば、オリンパスのカメラを持ってるけど、パナソニックで良いレンズが発売されたから使ってみるとか。

ニコンやキャノンでは規格が統一されていないのでそうはいきません。(アダプターなどを使うと使用できますがレンズの機能が制限されます)

ただ、レンズのサードパーティー社(SIGMAやタムロンなどのいわゆる社外品)のレンズは各カメラメーカーに合わせて仕様変更して販売されています。

そして、これらの大きなセンサーを搭載していること、レフレックスミラーを内蔵していることから、どうしてもカメラ本体(ボディ)が大きく重くなってしまいます

しかし、

・大きなセンサーを持つことで暗い環境などでも綺麗に撮影できる
・光学ファインダーがあることで素早いピント合わせが可能
・ライブビュー(LV)撮影なら液晶画面を使ってのピント合わせや撮影も可能

というメリットの方が、ボディが大きく重くなるというデメリットを上回るので、プロカメラマンやハイアマチュアの方々のユーザーが多いのです。

中でもフルサイズのカメラは過去の記事にも書いたように、暗い環境でもしっかりとした写真が撮れること、センサーのサイズがフィルムと同じなのでフィルム時代から使っているレンズをそのまま使うことができるなどの理由により、プロカメラマンに好まれるのだと思います。

そして、報道などに使われる各メーカーのフラッグシップ機(一番高いカメラ)は、その下位の機種よりも画素数が低いことが多いんです。

これは使用目的(スポーツシーンや報道)に合わせて、暗い環境や動く被写体をしっかりと撮影するためにあえて画素数を抑えて高感度性能を上げているためです。

そして、カメラを抱えて走り回っても壊れないように防塵防水で堅牢に、バッテリー切れに備えて容量の大きなバッテリーが使えるようにボディも大きく作られているのです。

まさしく趣味ではなく結果が全てのプロの世界ですね。

値段もデザインも二の次で性能重視ってことでしょう。

フルサイズのイメージセンサー(撮像素子)でなければダメなのか?

ミラーレスカメラ

ミラーレスカメラの特徴は、

・レンズ交換可能
・光学ファインダーがない
・センサーが大きい(画質が良い)
・一眼レフよりもコンパクト
・それなりに高い
・デザインが良い
・電子ビューファインダー(EVF)が使える場合がある

ミラーレスカメラは文字通りミラーがない(レス)カメラです。

一眼レフカメラにあったレフレックスミラーがありませんので、当然光学ファインダーもありません。

なので、構図やピントの確認は背面にある液晶モニターで行うことになります。

イラストにある電子ビューファインダー(EVF)は、周囲の環境が明るすぎて液晶モニターが見づらい時などに使うもので中を覗くと小さい液晶画面をみることができます。

つまり、どうやっても一眼レフカメラのように被写体(光)をレンズ(ガラス)越しに直接みることができません

なので一眼レフカメラの特徴の一つであった、位相差検知式の素早いピント合わせのシステムを使うことができないのです。

液晶画面を見ながらピントを合わせる場合にはコントラスト方式という別の仕組みになり、位相差検知式よりも遅いと言われていました。

しかし、現在は技術の進歩により位相差検知式と変わらないスピードを持つものもありますし、原理的には難しいと考えられていた位相差検知式のAFを搭載したカメラも存在します。(ちょっと難しい話になるのでここらへんの話はまたいずれ)

液晶を見ながらピント合わせができると、画面を拡大して正確に合わせることができるので僕のような老眼にも優しいです。

また、常に液晶モニターに画像を表示させなければならないので、一眼レフカメラのように撮影していない時にイメージセンサーをシャッターで覆ってしまうことができません。

なので、多くのミラーレスカメラが(物理的なシャッター幕が存在しない)電子シャッター方式を使っています。(中には機械式のシャッターを使える機種もあります)

そして各メーカー、一眼レフカメラを製造していますので、センサー技術はありますからミラーレスカメラも当然販売しています。

というか、ミラーレスの方がメインのメーカーもありますし。

レフレックスミラーとペンタプリズムがなくなることで一眼レフカメラに比べてボディサイズをぐっと小さく軽くできる上に、デザインの自由度が上がるのでおしゃれでかっこいいカメラもたくさんあります

さらにセンサーは一眼レフと変わらないので、画質も当然変わりません。

では、一眼レフカメラのレンズをそのまま使えるかと思いきや、実は一眼レフカメラ用のレンズはボディ内のミラーにぶつからない程度に奥まで入るように設計されている(フランジバックが長い)ことが多く、そのままではミラーレスカメラにはつけられない場合が多いんです。

ただ、メーカーが同じであれば専用のアダプターを使えば、問題なく使用できますのでレンズ選びの幅は一眼レフカメラとあまり変わらないですね。

そんな理由から、各メーカーがミラーレスカメラの販売に力を入れており、最近は(風景や人物などの)プロカメラマンもミラーレスを使っている人が多いかと思いますし、ハイアマチュアにも人気があります。

デザイン良し、画質良し、ですがちょっと高い感じでしょうか。

コンパクトデジカメ(コンデジ)

コンデジの特徴は、

・小さい
・軽い
・レンズ交換ができない
・特化機能があるモデルが多い(接写、水中、GPSなど)
・デザインが多様
・安い

コンパクトカメラは幅が広すぎて特徴を出すのが難しい、というのが特徴です。

共通点としては一眼レフカメラやミラーレスカメラに比べると小さくて軽いこと、レンズ交換ができないということです。

逆にいうと、この条件に当てはまるとコンパクトカメラというひとくくりにまとめられてしまう場合が多いです。

一般的に広く受け入れられそうな万能なコンデジの多くはデザインやスマホとの連動性、特殊フィルター(美肌効果など)をウリにしているのが多いように思います。

そういうカメラが多い中、特殊機能に特化したトンがったカメラがあるのも面白いです。

例えば、オリンパスは水中撮影に力を入れていますが、防水機能を強化したモデルや顕微鏡モードと言って超接写機能が付いているカメラがあります。

また、いくつかのメーカーではGPS機能を持っていてログデータを取得できるカメラも発売しています。

高級コンパクトというカテゴリーでは、センサーを大きくして画質にこだわったカメラも多数あります。

何れにしてもレンズ交換はできません。

これはデメリットと思われがちですが、もしあたながレンズ交換可能なカメラを持っていたらそのレンズを交換して撮影してますか?

実は多くの人がレンズ交換可能なカメラを持っているにも関わらず、買った時に付いてきたセットレンズしか持っていないので、レンズ交換をしないで使っていることも事実です。

もしそうであれば、いっそのことレンズ交換なんてできない方が、カメラ内にゴミが入らなくて良いという考え方もあります。

つまり人によってはデメリットをメリットとして考えることができるんです。

僕は撮影の仕事をしていますが、普段から一眼レフを持ち歩いているわけではありません。

重いですからね。

仕事のときくらいしか使いませんよ。

でも、やっぱりいいシーンなどがあるとそれなりには綺麗に撮りたいと思うので、コンパクトカメラは普段からバッグに入れてあるんです。

生活の中で最も使用頻度が高いのがコンパクトカメラなんですよ。

小さいし軽いし、スマホ経由でSNSにも投稿できるし。

コンデジは文字通りコンパクトで何かと便利なのが良いですね。

一眼レフなどに比べれば画質は劣るけど、それを上回るメリットがあると思います。

スマートフォン

スマートフォンの特徴は、

・いつでも持っている
・速写性においてはピカイチ
・ネットに繋がっている

そもそもスマートフォンってカメラなの?

って言われると返答に窮しますが、最近のスマホは綺麗な写真が撮れると言われますから、やっぱりカメラ機能としては無視できないんじゃないかと。

まあセンサーのところで説明したように、どんなにスマホが進化したとしても大きなセンサーを搭載できるわけじゃないので画質的にもレンズ的にも一眼レフカメラなどとは比べ物にはなりません

ですが、スマートフォンには他のどのカメラにも絶対に負けない機能があります

それは速写性能

連写性能じゃないですよ。

スマホっていつも持ち歩いてますよね。

これ、とても大切なんです。

いくらフルサイズのカメラで美しい写真が撮れようとも、その場に持っていなければ意味がありません。

一方でスマホはいつも持ってますから、ここぞという一瞬で一番先にシャッターを押すことができるんです。

しかも、ネットに繋がっているのでそのままSNSに投稿する、なんてことも楽勝ですよね。

誰にも負けない速写性能を持っているのがスマートフォンです。

自分にあったカメラ選び

いかがでしたか?

各カメラにより特徴が異なることは十分に理解できたと思います。

この中からあなたのライフスタイルにあったカメラを選べば良いのです。

画質にこだわりすぎて大きなカメラを持ち歩くのが億劫になってしまうようでは本末転倒です。

どのくらい本気で写真を撮るのか、普段の移動手段は何か、主にどんな被写体を撮るのか、これからどのくらいハマりそうか、などをよく考えて選んでください。

ちなみにレンズ交換式のカメラ(一眼レフカメラやミラーレスカメラ)を選ぶ場合は、その後に交換レンズが増えていきますのでそこらへんも考えてみてくださいね。ただ、同じメーカーでもフルサイズとAPS-Cではレンズ選びに注意が必要です。

そして、ハマってくればわかりますが、レンズ交換式カメラの場合はカメラよりもレンズの方に価値があります

初めは安い一眼レフカメラから初めても、レンズさえ間違った買い物をしなければ資産となり、カメラボディを買い換えてステップアップしていくことになります。

参考までに僕が持っているカメラ(2019年7月現在)を紹介しておきます。

・陸上用:ニコンD800、ニコンD500
・360°パノラマ用:ニコンD5200
・水中用:ニコンD7000、ニコンD7200
・360°水中パノラマ用:ソニーα6000
・普段持ち歩き用:リコーGR2
・スマートフォン:iPhone7

です。

フラッグシップ機でも最新機種でもありませんが、僕が仕事で使う範囲であれば必要十分な性能を持っていて、古い機種でも仕事に支障が出ない限りはこれからも大切に使っていくつもりです。

まとめ

それでは最後にまとめます。

デジタルカメラの種類はざっくりと、

・一眼レフカメラ
・ミラーレスカメラ
・コンパクトデジカメ
・スマートフォン

に分けられます。

それぞれの特徴は、

一眼レフカメラ
・レンズ交換可能
・光学ファインダー
・画質が良い(センサーが大きい)
・ピント合わせが早い
・大きい、重い、高い

ミラーレスカメラ
・レンズ交換可能
・液晶か電子ビューファインダー
・画質が良い(センサーが大きい)
・新しいカメラならピント合わせも早い
・一眼レフカメラよりはコンパクトでデザインもいいけど値段は大差ない

コンパクトデジカメ
・レンズ交換ができない(ゴミが入らない)
・小さい、軽い、安い
・特徴的な機能を持つカメラがいろいろある

スマートフォン
・いつでも持っている
・速写性に優れている
・インターネットに直結している

これからカメラを購入する方は、これらの特徴を考慮して後悔のないカメラ選びをしましょう。

注意
この記事ではわかりやすさを優先していますので、必ずしも正確な表現をしていないことや、あえて説明していない部分などもありますのでご了承ください。