見上げた空が青く、夕焼けが赤く見えるのは、光に色がついていると同時に波の性質(反射や屈折)を持っているからです。
この写真はその全てをとてもわかりやすく表現しています。
写真とは「光」を使った作品です。
その写真に必要不可欠な「光」の性質を少し知っておくことで、写真の基礎がとても理解しやすくなります。
さらに、
・空がなぜ青いのか?
・夕焼けはなぜ赤いのか?
といった疑問にも簡単に答えられるようになります。
今回はこの「光」の性質について少し深く理解しましょう。
光は波である
光が波だと言われてもなかなかイメージできないかもしれませんが、まさに「海の波」のことだと思って大丈夫。
波の性質について詳しく説明すると語り尽くせなくなってしまいますので、今回は写真(色)と大きく関係している「波長(はちょう)」について解説します。
波を横から見ると、最も高い位置から次の最も高い位置までを一つの単位と考えることができて、この繰り返しで波ができています。
この一つの単位の長さを「波長」と言います。
ここで注意してほしいのは、よく言われる波の大きさ(高さ)と言うのは「波長」ではなく「波高(上下の高さ)」と言います。
「大きな波」と言うと、一般的には「波高」の大きな波(高い波)のことになりますが、今回は「波高」ではなくて「波長」のことについて説明しています。
「波長」と「波高」、似てるけど全く違うものです。
波長:波を横から見たときの一つの単位の長さ
波高:波の上下の高さ
余談ですが、波には「縦波」と「横波」があります。
「横波」が今説明している海の波や光のことですが、実は音にも波の性質があり、音は「縦波(疎密波)」と言われています。
この辺りも日常生活に関わる部分があって面白いのですが、話が逸れてしまいそうなので割愛します。(興味のある方は「ドップラー効果」などで検索してみてください)
ただ、一つだけ「縦波は上下に揺れて横波は左右に揺れる」と言う理解は間違っていますので気をつけてください。
「横波」は波が縦に揺れようが横に揺れようが「横波」です。
縦波(疎密波)は前後(進行方向)に揺れながら(密度が変わりながら)進むイメージです。(絵として横から見たら振動していないように見えます)
ちょっと話が難しくなってきたので、光の話題に戻します。
光の屈折
さて、光は波の性質を持つと言いましたが、波の性質とは「屈折と反射」です。(他にもありますが、関係ない分野はスルーしときます)
反射は鏡を始め身近に見たり感じたりできるのでイメージしやすいと思います。(始めの写真の池に空が映ってるのが反射です)
今回理解してほしいのは「屈折」の方です。
光は同じ物質の中を進む場合は原則として直進しますが、異なる物質の境目で進む方向が変わります。(これを屈折と言います)
例えば、下の絵のように、空気中を進んでいた光が水の中に入ると屈折して進む方向が変わります。
実はこれも身近に感じることができます。
お風呂で自分の手が大きく見えたり、グラスに入れたストローが曲がって見えたり。
そして大切なことは、この屈折する度合い(屈折率)が波長によって異なるんです。
具体的には波長の短い光の方が長い光よりも屈折率が大きい(よく曲がる)と言う性質があります。
光には色がついている
光には波の性質があり、異なる物質の境目を通過するときに屈折(曲がる)し、波長によって屈折率(曲がる度合い)が異なることがわかりました。
では、次に波長と色の関係について説明します。
冒頭で光には「色がある」と書きました。
では逆に「色がない」とはどういうことでしょうか?
「色がない」というのは「白」ではなく「透明」つまり目に見えないということですね。(白は見えます)
光は電磁波という波の種類の中でも目に見える波長をもつ種類で、可視光とも呼ばれます。(可視光以外は透明な波です)
具体的にはおおよそ360-400 nmから760-830 nmの波長をもつ電磁波のことを可視光(光)と言います。
見慣れない単位が出てきたので補足説明しておくと1nm(ナノメートル)は10億分の1m(メートル)です。(とにかくめちゃくちゃ短いです)
では「可視光(光)は何色か?」と言われると答えるのが難しいです。
目に見えるということは何色であっても見えますから。
強いて言うなら虹色ですが、光を虹色に見える人はいなくて、普通は白に見えると言われています。
ところで、虹は何種類の色か国によって見え方が異なります。
とりあえず日本では7色と言われていますので、これからは7色に色分けをして説明します。
波長の短い光から長い光まで紫・藍・青・緑・黄・橙・赤と並んでいます。
そしてプリズムなど、空気とは異なる物質を通過すると、波長の違いによって屈折率(曲がり方)が異なるので、今まで混ざっていた色が分離されます。(これをスペクトルと言ったりすることもあります)
ちなみに、
紫よりも波長が短い電磁波を紫外線<UV(Ultra Violet)>
赤よりも波長が長い電磁波を赤外線<IR(Infrared)>
と言いますが、これは聞いたことありますよね。
そして、
紫外線よりもさらに波長が短いと電磁波
赤外線よりも波長が長いと電波
と呼ばれます。
これ全部ひっくるめて電磁波の仲間です。
さて、これで虹ができる原理がわかったと思います。
太陽光が空から地球に降り注ぎ、異なる物質の境目で波長の違いにより屈折して混ざってた色が分離されたのが虹です。
空にプリズムはありませんが異なる物質とは何でしょう?
それは例えば、水蒸気(水)だったり、密度の異なる空気だったり、細かい粒子(ホコリ)などを含む部分があったり、様々な原因により光が屈折することで色が分離して虹ができるのです。
そして再びすべての色を混ぜ合わせれば白色になります。
空はなぜ青い?
それでは、空が青く見えたり、夕焼けが赤く見えたりする理由を説明します。
可視光は様々な波長(色)の光が混ざったものだと言いましたが、波長の短い光が青っぽく、波長の長い光が赤っぽい、ということはすでに説明した通りです。
そこで、この波長の長さをこんな感じのボールに例えてみます。
波長の短い光(青っぽくて小さいボール)は空気中を進む時に、そのボールと同じくらい小さな物質(酸素や窒素の分子、水蒸気、ホコリなど)にぶつかって進む方向を様々に変えます。
これを光の散乱と言いますが屈折率が大きいこととも似ています。
逆に波長の長い光(赤っぽくて大きなボール)は、空気中にある小さな分子などの物質がぶつかることなど物ともせずに進むことができます。
空が青いことも夕焼けが赤いこともこのことから説明できるのです。
空を見上げると青いのは、降り注ぐ太陽光の中でも青っぽい光(ボール)が方向を変えまくって(散乱)して空いっぱいに青いボールが広がるから。
夕焼け(朝焼け)が赤いのは太陽が低い位置にある時ですが、その時の太陽光は大気圏(空気の層)の中を日中よりも長い距離を進んであなたのところに届きます。
こんな時には青いボールたちは大気圏に入って早々に散乱しまくってしまうので遠くにいるあなたのところからは見えません。
逆に小さな粒子などお構いになしに飛んできた赤くて大きなボールがたくさん届くようになるのです。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
空が青く見えたり夕焼けが赤く見えたりする理由が理解できましたか?
波としての性質を持つ光(可視光)は様々な色(波長)の混ざったもので、混ざっている時には白っぽく見えますが、人工的にも自然現象としても色(波長)ごとに分けることができるので、虹が見えたり、空が青かったり、夕焼けが赤かったりするんです。
それでは最後に今回学んだことをまとめておきます。
・光とは電磁波の中でも色のついている波長を持つもの
・光は波(横波)の性質があり、異なる物質を通過する時に屈折する
・その際、波長によって屈折率が異なるので色が分離される
・太陽の位置が高い時には波長の短い青っぽい光が空いっぱいに広がる
・太陽の位置が低い時には青い光は遠くで拡散されてしまい赤い光が多く届く
注意
この記事ではわかりやすさを優先していますので、物理学として必ずしも正確な表現をしていないこともありますのでご了承ください。