「撮影状況に応じで適切なオートフォーカス(AF)のモードを選ぶ」で書きましたが、オートフォーカス(AF)でピント合わせを行う時には、
・フォーカスエリアを自分で選び
・そのフォーカスエリア(点)でピント合わせをしている
と思います。
その際に、自分もしくはカメラが選んだフォーカスエリア(点)でピント(焦点)が合っていると思っているかもしれませんが、実際にはその「点」だけでなくセンサーから同じ距離にある全ての点、つまり「面」にピントが合っています。
この「ピントは面で合う」ことを理解していると、例えばカップルの写真などを撮る時に、
自分の立ち位置を考えてどちらか一人にピントを合わせれば両方の人物にピントを合わせることが可能です。
「ピントが面で合う」ことを理解することで、被写体が複数ある(いる)時にも、自分の立ち位置(カメラ位置)などを考えて、最も効率の良いピント合わせができるようになります。
今回は「ピントが面で合う」ことについて理解を深めましょう。
ピントを合わせるとは
「ピント合わせ」とはセンサー上に像がシャープに写るような面(ピント面)を前後させて写したい被写体の距離に合わせることです。

この時に被写界深度内に入っている部分はシャープに写り、被写界深度の外側にあるものはボケ(ピンボケ)ます。
そして、被写界深度はピント面に対して手前に浅く奥に深いという特徴を意識して、どこ(誰に)ピント面を合わせれば写したいもの(人)を被写界深度内に入れられるか、逆に被写界深度から外してボカせるかを考えてピント合わせをすることができます。
面で合っていることを意識する
カップルの写真を撮る時に、二人の間にある(真ん中にある)フォーカスエリアを使って撮ると奥にピントが合ってしまう(人物がボケる)ことはありませんか?

特に、他人に写真をお願いした時などにこのような失敗をすることがあるかと思います。
こうならないように、フォーカスエリアを移動させて被写体に合わせるのですが、この時に原則としてピント面はセンサーの面と平行を保ったままセンサーに対して前後に動くということを意識してください。
ピントは「点」ではなく「面」で合っていますので、このようにカメラから二人が同じ距離にいる場合にはどちらか片方にピントを合わせれば、カメラから同じ距離(同じピント面)にいるもう一人にもピントが合っているんです。

さらに背景にもピントを合わせたい場合には、被写界深度は奥に深いという性質を利用して、F値を大きくすれば良いのです。

このイラストのような写真は典型的な例ですが、複数の被写体(人)がいる場合などは、自分がどこに立って誰にピントを合わせれば最も多くの人を被写界深度内に入れられるかを考えると良いと思います。
特に集合写真やパーティーなどの時には効果的なテクニックです。
例外的なレンズもあります
ピントが面で合い、その面はセンサーと平行を保って前後に動くことは理解できましたか?
ここからは少しだけ例外の話をします。
高い建物を見上げて撮る時や置いてあるアクセサリーなどを斜めから撮る時など、ピントを合わせたい面とセンサー面が平行ではない場合に、F値を大きくして被写界深度を深くしても全てが被写界深度に入らないことがあります。
そのような撮影をしたい時にシフトレンズとかチルトレンズなどと呼ばれるレンズがあります。
これはセンサー面に対してピント面を斜めにできる特殊なレンズです。
下のイラストのように、高い建物を見上げると、どうしてもセンサー面と壁の面を平行にすることができません。
このような場合にシフトレンズを使うと、センサー面に対してピント面を斜めにすることができるので、それほど絞らなくても(F値を大きくしすぎなくても)壁面全てを被写界深度に入れることが可能です。

かなり特殊なレンズなので普通の人が使う機会は少ないです(僕も持っていません)。
このレンズの特徴を逆に利用して、被写界深度の深い広角レンズでありながら、被写界深度の超浅い写真でミニチュアの世界を表現している本城直季さんというカメラマンは有名ですね。
あなたもきっと作品を見たことがあると思います。
今ではコンパクトデジカメやスマートフォンなどのエフェクトで擬似的にミニチュア写真を作ることもできますが、シフトレンズを使って初めてこのアイデアを思いついた本城さんってすごいですね。
僕もいつか何かヒラメキたいものです。
まとめ
それでは、最後にまとめます。
・ピントは自分が選んだフォーカスエリア(点)だけでなく、その点と同じ距離にある面すべてに合う
・センサーと平行にあるピント面を前後に動かすことでピント合わせを行う
・被写体と自分(カメラ)の位置関係および被写界深度を考えてピント合わせを効率的に行うことができる
注意
この記事ではわかりやすさを優先していますので、必ずしも正確な表現をしていないことや、あえて説明していない部分などもありますのでご了承ください。