「デジタルカメラはフルサイズがいい」って聞くけど、本当なんでしょうか?
そもそもフルサイズって何?
そんなあなたのために、僕がわかりやすく解説します。
結論から言うと、
確かにフルサイズのカメラの方が綺麗な写真が撮れることも多いですが、必ずしも全てのシーンでフルサイズがベストチョイスとは限らないので、自分のフォトスタイルに合わせて選べば良いと思います。
ということで、今回のテーマはセンサーの仕組みやセンサーサイズと画素数の関係について。
この記事を読むことで、センサーへの理解が深まり、周りの人の意見に影響を受けることなく、自分の意思でセンサーやカメラを選ぶことができるようになります。
まずは1画素の仕組みを理解する
例えば2,000万画素のカメラ(センサー)には文字通り2,000万個の画素がありますが、まずは2,000万分の1個、つまり1画素だけに着目します。
とは言っても、カメラマンとして活動している僕も恥ずかしながら最新技術の難しい話は分かりませんし、もしわかったとしても今この記事を読んでいるあなたの知りたいことはそこじゃないですよね。
なので、あなたにもわかるようにたとえ話で説明します。
デジタルカメラのセンサー(撮像素子)の役割は「入ってきた光の強弱を電気信号の強弱に変換する」ことです。
たくさんの光が入ってくれば多くの電気信号を、少しの光が入ってくれば少しの電気信号を出す仕組みです。
分かりやすく説明するために1画素を一つのカップに例えてみます。
このカップに入ってきた水の量に比例して電気信号を発生するのが1画素だと考えてください。
上のイラストでは半分くらい水が入っているので、MAXの時に対して半分の量の電気信号が発生します。
次に6画素の場合、それぞれのカップには異なる量の水が入っていますので、それぞれのカップが発生する電気信号はすべて異なります。
2,000万画素のセンサーの場合、このカップが2,000万個並んでいて、それぞれのカップから出てくる2,000万個の電気信号の情報を処理していることになります。
ところで、このカップの大きさが違うとどうなるでしょうか?
小さいカップよりも大きいカップの方が正確に水の量の差を計り分けられると思いませんか?
言い換えると小さいカップで分けようとすると雑になる(誤差が大きくなる)ということです。
この後の説明でこのカップの大きさがとても重要になってきますので、しっかり覚えておいてください。
とりあえずこれで1画素の仕組みがなんとなく理解できましたか?
それでは次にセンサーのサイズについて解説します。
センサーのサイズとは
現在販売されているカメラの主なセンサーサイズはこんな感じです。
似たような図をどこかで見たことあるかもしれません。(よくありますので)
一番大きいのがフルサイズで、一番小さい1/2.3型というのがコンパクトデジカメやスマホなどのサイズです。
ただし、全てのカメラ(センサー)が必ずこの中のどれかに当てはまるわけではなくて、APS-Cはメーカーによって微妙にサイズが違ったり、フルサイズよりもはるかに大きいセンサーもありますし、1/2.3型よりもずっと小さいサイズのセンサーもあります。
そして、この図を見ても実際の大きさのイメージがわかないと思うので直径2cmで知られている1円玉と比べてみます。
どうでしょうか?
1円玉と比べてみると1/2.3型なんてめちゃくちゃ小さい!って思いませんか?
でもスマホなんかは、カメラ自体がとても小さい(薄い)ですので、このサイズのセンサーじゃないと入らないんです。
ところで、気付く方は少ないかもしれませんが縦と横の比率が2種類あるんです。
この縦と横の比率のことを「アスペクト比」と言いまして、2:3と3:4があります。
2:3は昔のフィルムカメラのフィルムサイズのなごりで、3:4は昔のブラウン管テレビの縦横比のなごりです。
それともう一つ、2:3って半分にしても2:3になるんです。
フルサイズのちょうど半分がAPS-Cサイズになります。
実はこれも昔のフィルムカメラシステムのなごりなのではないかと思っています。(昔のフィルムカメラはハーフサイズといって、24枚撮りのフィルムで48枚撮れるカメラがありました)
センサーサイズと画素数の関係
それではいよいよ核心に迫っていきますよ。
例えば2,000万画素のフルサイズセンサーがあるとします。
これはフルサイズの面積に2,000万個のカップが並べられていると思ってください。
では、APS-Cセンサーで同じ2,000万画素だったらどうでしょうか?
センサーの面積が半分になってるのに同じ2,000万個のカップを並べなければならないので、カップの大きさ(面積)も半分になりますよね?
どちらも同じ2,000万画素のセンサーなのに、面積の大きいフルサイズの方が大きいカップを使えるので誤差が少なくて正確に水(光)の量の違いを計れるんです。
つまり、画素数が同じならセンサーサイズが大きい方が誤差が少なく正確に水(光)の量の違いを計れるということになります。
では、逆にセンサーサイズが同じだったらどうでしょう?
同じ面積なら画素数の少ない方が大きなカップを並べることができますね。
つまり、センサーサイズが同じなら画素数の低いセンサーの方が誤差が少なく正確に水(光)の量の違いを計れることになります。
もうお分かりですね。
正確に水(光)の量を図るには、センサーのサイズだけでなく、並べるカップの大きさも大切なんです。
センサーが大きい方(フルサイズ)が良いカメラだとか、画素数が大きい方が良いカメラだとか、パッと見の数値だけで決めることはできないんです。
じゃあ、カップの大きさは数値化できないの?
と言われると、もちろんちゃんとありますよ。
「画素ピッチ」と言います。
ただ、これはあまり馴染みのないとても小さい数値ですし、説明書などにも書いてない場合もあるんです。
一般的に言えることは、画素ピッチが大きい、つまり大きなカップを持っているセンサーほど高性能で、例えば薄暗い条件などでも良い画質の写真が撮れます。
これを「高感度に強い」とか「ダイナミックレンジが広い」などと表現することがあります。
聞いたことありませか?
そしてもちろん画素ピッチ(カップの大きさ)だけでカメラの性能を決めつけることはできません。
仮に画素ピッチが同じだったとしても、技術の進歩によって新しい製品の方が優れていることもあるんです。
今回はセンサーのサイズと画素数の関係を分かりやすく説明したつもりですが、カメラには他にも性能を左右する様々な要素がありますので、一つの要素だけにとらわれずに総合的に判断することが大切だと思います。
まとめ
それでは最後に今回の内容をまとめます。
・センサーの役割は入ってきた光の量に応じて電気信号を発生すること
・センサーのサイズは様々あるが一般的にはフルサイズが大きい
・同じ画素数ならセンサーサイズが大きい方が画質が良い
・同じセンサーサイズなら画素数が低い方が画質が良い
・ただし、センサーサイズや画素数だけがカメラの性能を決めるものではない
カメラの性能に関する要素は他にもたくさんありますので、別の記事も参照してください。
注意
この記事ではわかりやすさを優先していますので、必ずしも正確な表現をしていないことや、あえて説明していない部分などもありますのでご了承ください。