焦点距離を変えることのできるズームレンズ。
一般的なコンパクトデジカメには普通はズームレンズがついています。(僕がよく使っているRICOH GRIIなどは例外です)
また、レンズ交換式カメラ(一眼レフやミラーレス)を購入すると始めについてくるレンズもズームレンズである場合が多いです。
一方で、スマートフォンは単焦点レンズ(ズームができない)の場合がほとんどです。(ピンチアウトしてズームしているのはデジタルズームです)
例えば人物を撮影する場合、スマートフォンならカメラを前後させて人物が写る大きさを変えますが、ズームレンズが使えるなら自分(カメラ)がその場にいてもズームすることで人物が写る大きさを変えられますよね?
もちろんズームレンズがあってもズームをせずにスマートフォンのように自分(カメラ)が前後することで写る人物の大きさを変えることができます。
では、自分が近づいて人物を大きく写す場合とズームして人物を大きく写す場合では何が違うのでしょうか?
実はズームレンズをうまく使いこなすことで「背景」の写り方が大きく変わります。
ズームレンズで人物を撮影する時は
・広角側で撮影すると背景が広くなる
・望遠側で撮影すると背景が狭くなる
という特徴があります。
ズームレンズを使うことで表現の幅を広げることができます。
それでは実際の写真を使ってズームレンズの特徴を説明します。
広角側で撮ると背景が広く入りデフォルメされる
広角側で人物を撮影する場合には背景を広く入れることができます。
Nikon D800&24mm(絞り優先オート,f/4,1/800,ISO400,露出補正+0.7)
このことで、環境の広がりを写し込むことができますので、
・どこで撮影しているか
・誰と一緒にいるか
などの情報も一枚の写真で表現することが可能です。
そして、近景から遠景までが同じ画面内に入ることで遠近感の表現が強くなり、このことをパースペクティブ(パース)が強いなどと言うことがあります。
しかし一方で、広い視野を写すことで画面の周囲が少し歪んでしまうことがあり、実際に見た感じとは異なって見え、これをデフォルメと言います。
デフォルメは特に周囲が気になりますので、被写体を中央に配置することで目立たなくすることができます。
スマートフォンでズームを使わずに撮影してもこんな感じの写真になりますよね。
望遠側で撮ると背景が狭くなる
ズームレンズを望遠側にして、先ほどと同じ人物が画面内に同じ大きさになるように、下がって撮影しました。
Nikon D800&70mm(絞り優先オート,f/4,1/640,ISO400,露出補正+0.7)
被写体(人物)の大きさは同じですが、背景に注目すると先ほどのように広く写らなくなりましたね。
また、同じ絞り値にしていますが、望遠側にすることでボケも大きくなっていることに気づくでしょう。
そして広角側で撮影した場合と望遠側で撮影した場合の被写体(人物)を比べると、顔が違うように写っているような気がしませんか?
これが先ほど述べたデフォルメです。(背景の写り方にも注目)
どちらかと言うと、望遠側で撮影した方がデフォルメが少ないので実際に見ている感じに近いです。
そうは言っても限度があります
最近のコンパクトデジカメは20倍ズームなど、高倍率の望遠レンズが付いている機種もあります。
この場合には35mm換算で300mmとか600mmなどと言った超望遠が使えます。
望遠側の方が人物が正確に表現できて周囲も写らないからと言って、このように極端な超望遠レンズで人物を撮影しようとするとめちゃくちゃ離れなければならなくなり現実的ではありません。
人物撮影(ポートレート)に最適な焦点距離は35mm換算で85mm前後と言われています。
これは「見つめた視線」と言われる焦点距離で、人物のアップの写真(ポートレート)を撮るのに最適な焦点距離です。
ちょっと調べてみればわかりますが、フルサイズ用のレンズで85mm解放F値が1.4などの明るいレンズは驚くほど高いです。
しかし、美しいボケも使えたりするのでポートレートのプロカメラマンに好まれるレンズとなっています。
でも必ずしもこのレンズでなければダメだと言うことはありませんし、広角レンズの遠近感を使って面白い表現をすることも可能ですので、今あなたが持っているレンズの特徴を活かして撮影を楽しめば良いと思います。
RICOH GRII(絞り優先オート,f/8,1/200,ISO400,露出補正±0)
まとめ
焦点距離を変えることで、被写体がデフォルメされたり背景の写る範囲が変わることが理解できましたか?
ズームレンズで人物を撮影する時は
・広角側で撮影すると背景が広くなりデフォルメ効果が強くなる
・望遠側で撮影すると背景が狭くなり、実際に近い感じで表現できる
という特徴はありますが、正しい答えはありません。
「レンズがないから撮れなない」と諦めるのではなく、今持っている道具で工夫をして是非「あなたにしか撮れない写真」を撮ってください。
注意
この記事ではわかりやすさを優先していますので、必ずしも正確な表現をしていないことや、あえて説明していない部分などもありますのでご了承ください。