思い出の一枚【スーパー・ブルー・ブラッドムーン】

思い出の一枚

僕は天体を見るのも撮るのも好きです。

あまり詳しわけじゃないけど。

地球上から最も大きく見える天体は太陽と月。

でも太陽は眩しくて観察しづらいので、やはり月が一番人気でしょう。

月は満ち欠けもして日毎に姿を変えますからね。

僕も月大好きです。

また、僕はダイビングインストラクターでもありますが、月の満ち欠けは潮の満ち引きとも大きく関係しているので、そんなこともあってよく月を気にしていたのかもしれません。

山梨県に引っ越してからは、沖縄と違って毎日のように潜りにいくことができなくなった分、月を見たり撮ったりして楽しむことが増えました。

天体望遠鏡で月や惑星などを観察すると面白いですよ。

望遠鏡って単純な作りですが、驚くほど天体をハッキリと観察することができるんです。

月なんか大きいので、かなり見ごたえがありますよ。

そんなにハッキリ見えるなら、自分が見るだけじゃなくて写真を撮って他の人にも見せたいですよね。

もちろん僕もそうでした。

始めは望遠鏡の接眼レンズにカメラをくっつけて、つまり自分の目の代わりにコンパクトデジカメに覗かせて撮影する方法(「コリメート法」と言います)でトライしていたのですが、月を真ん中に入れてかつピントを合わせるのが難しくて諦めました。

次に挑戦したのは望遠鏡の接眼レンズを外して一眼レフカメラのボディと合体させて、望遠鏡をレンズ代わりにして撮影する「直焦点法」

これが簡単で成功率が高いので現在は主に利用しています。

カメラと望遠鏡を接続するためのパーツもそんなに高くないし、セッティングも一瞬で終わるので「あ、月が綺麗だから撮ろ」という感覚で割と簡単に撮影しています。

雫の撮影と同様に、余計な回り道をせずにカメラをしっかり固定する方が結果的に早くゴールできるみたいな感じですね。

 

というわけで、簡単に撮影する方法を身につけてからは良い月が出ている度に撮影するようになりました。

月を撮影する場合、僕の望遠鏡(1000mm)にはAPS-Cのカメラを使うとちょうど良い画角になります。(35mm換算で1500mm相当)

トリミングしなくてもこのサイズ。(ただし、月と地球の距離は常に一定ではないのでもっと大きく見えることも小さく見えることもあります)

Nikon D5300&天体望遠鏡(マニュアル露出,f/-,1/125,ISO100)

PCで拡大するとクレーターもハッキリと確認することができて楽しいですよ。

ただし、肉眼では一見キレイに見えている月も実際に撮影してみると全然シャープに撮れない、ということがよくあります。

空気のゆらぎ」と呼ばれる大気の不安定な状態に左右されてしまいます。

風が強い日などはゆらぎの影響を受けることが多いような気がします。

逆にゆらぎの影響が少ない日などは本当に気持ちいいシャープな写真が撮れます。

 

こちらは細い月の時に地球からの光で月の影の部分が照らされる「地球照」と呼ばれる現象。(肉眼では見えづらいですが写真に撮るとハッキリ見えます)

Nikon D5300&天体望遠鏡(マニュアル露出,f/-,1秒,ISO6400)

細い月の日に空気のゆらぎが少ないとキレイに撮影できます。

地球による間接照明ですね。

ただ、細い月は夕方か明け方に空の低い位置でしかみることができないので、なかなか撮影条件が整わないことが多いです。

低い位置だと空気の層が厚いのでゆらぎの影響も大きいですから。

空が青く夕焼けが赤いのは、光に色が付いていて波の性質を持っているから

とは言っても、いつでも簡単に撮影できますので、チャンスの時に行動するだけですね。

 

さて、そんな月ですが、時々ビッグイベントがあります。

前置きが長くなりましたが、そんな月のビッグイベントが今回紹介する思い出の一枚です。

2018年1月31日の夜「スーパー・ブルー・ブラッドムーン」と呼ばれる満月が現れました。

スーパームーン:月が普段よりも地球に近くて大きく見える満月
ブルームーン:月が一ヶ月の間に2回満月になること
ブラッドムーン:月食により月が赤っぽく見える現象

この3つの現象が全て重なるのです。

月好きとしては、これは撮らなければなりませんよね。

でも、当日の天気予報では曇りで月が見えない予報でした。

しかも夜まで仕事の日。

天気ばかりはコントロールできないので諦めていたのですが、仕事を終えて外に出たら雲はあるものの月が見えてるじゃないですか!

速攻で帰宅して食事もせずに望遠鏡のセッティング。

もう月食が始まっていました。

Nikon D5300&天体望遠鏡(マニュアル露出,f/-,1/200,ISO100)

ちなみにこの時期の夜は氷点下ですが、寒さも忘れて見てました。

 

徐々に月が見えなくなります。

Nikon D5300&天体望遠鏡(マニュアル露出,f/-,1/200,ISO800)

 

地球照を撮る要領で露出をあげると、見えなかった部分が写ります。

Nikon D5300&天体望遠鏡(マニュアル露出,f/-,1/5,ISO1600)

赤い!

 

そしてすっぽりと月が地球の影に入ると、肉眼でもハッキリと赤い月が確認できました!

Nikon D5300&天体望遠鏡(マニュアル露出,f/-,1/3,ISO3200)

そんなに感動するつもりではなかったのですが、予想外に感動してしまいました。

 

今度は地球の影から出てきます。

Nikon D5300&天体望遠鏡(マニュアル露出,f/-,1/3,ISO3200)

 

本来の月の姿が出てきました。

Nikon D5300&天体望遠鏡(マニュアル露出,f/-,1/3,ISO3200)

 

そして、ナント!

月食が終わる頃には雲が出てきて月が見えなくなってしまいました。

Nikon D5300&天体望遠鏡(マニュアル露出,f/-,1/30,ISO3200)

本当にドラマのような絶妙のタイミングで雲が切れて天体ショーを見る(撮る)ことができました。

忘れられない思い出の一枚です。