思い出の一枚【日暈】

思い出の一枚

2013年5月2日、沖縄でダイビングガイドをしている時のことです。

朝からいい天気で海も穏やか、最高のコンディションで恩納村でのボートダイビングを楽しんでいました。

午前中のダイビングを終えて昼休憩のためボートを走らせて港に戻ってくると、漁師さんや他の船長さんたちが空を指差してニヤニヤしてました。

指差す方を見上げると、太陽の周りに巨大な虹のような輪が!

なんか珍しそうな現象だから写真撮っておこう」と思ったのですが、あいにくガイドの時に水中写真を撮るためのコンパクトデジカメしか持ち合わせていません

それでもなんとか撮ろうと思い、カメラを水中用のハウジングから取り出して撮影を試みました。

この時に持っていたCanon S100というカメラの画角は35mm換算で24mm。

24mmといえばかなり広角なレンズですが、この謎の輪も巨大でギリギリ画角内に入る大きさでした。

さらに太陽をど真ん中に入れての撮影など普通は経験がありません。

いつもの調子で絞り優先オートで撮影してみても、ピントは合わないし露出も全く思い通りにはなりませんでした。

そこでカメラに勝手な制御をさせないようにするため、

・露出モードをマニュアル
・ISO感度を最低
・絞りを最大値まで絞り
・シャッタースピードで明るさを調整

ピントに関しては画面内にシャープなとらえどころがないためになかなか合わないので、

・MFでピント位置を無限遠(∞)

という、普段は全然使わないような設定でなんとか撮った写真です。

Canon S100(マニュアル露出,f/8,1/1600,ISO80)

*一般的なコンパクトデジカメなのでアスペクト比が3:4になっています。

フルサイズのイメージセンサー(撮像素子)でなければダメなのか?

 

帰ってから調べたのですが、この現象は日暈(ひがさ、にちうん)とか白虹(はっこう、しろにじ)とか言われるそうで、太陽に薄い雲がかかった際にその周囲に光の輪が現れる大気光学現象だそうです。

この現象は月でも起こることがあり、そう言われば見たことがあるような記憶もあります。

めちゃくちゃ珍しいというほどの現象ではないと思いますが、その現象が現れている時に「何かしら撮影できる道具を持っていて実際に撮影(記録)する」というのは大切なことだと思ってます。

もちろん一眼レフカメラなどを持っていればもっとクオリティの高い写真が撮れたと思いますが、「たられば」を言って無意味ですから、その時のアイテムでベストを尽くすしかありません。

そういう意味で、思い出に残る一枚となりました。

 

ちなみに、その後2018年(5月21日)にも見ることができ、その時にもコンパクトデジカメしか持っていなかったのですが、なんとか撮影できました。

ただ、この時には太陽の光が強すぎて「スミア」という現象が起きてしまいちょっと残念です。

RICOH GRII(絞り優先オート,f/8,1/350,ISO100)

*スミア:周囲より極端に明るい被写体を撮影した際に、直線状の白カブリが発生する現象