思い出の一枚【木星】

思い出の一枚

天体望遠鏡があると比較的簡単に観察・撮影できるのは月ですが、次に見たくなるのが惑星です。

中でも金星、木星、土星は「ただの丸い玉」ではありません。

金星は満ち欠けし、木星には衛星や模様があり、土星にはよく知られる輪があります。

今回の思い出の一枚はその中の木星を紹介したいと思います。

でも、本やテレビで見るような大きくてカッコいい写真などは私が持っている道具では到底撮影できないので今回の写真には期待したらダメですよ。(笑)

惑星となればいくら望遠鏡といえどもものすごく小さくしか見えません。

ただ、自分で望遠鏡を木星に向け、肉眼で木星の衛星がハッキリと見えると結構嬉しいものなんです。

ちなみに空の条件が良ければ、目のいい人なら双眼鏡でも木星の衛星が見えるらしいのでぜひチャレンジしてみてください。

 

さて、夜空に浮かぶ星々はネットや本で調べれば、どの季節の何時ころにどこに見えるか簡単にわかります。

普通の星は季節ごとに少しずつ見える範囲が移動していくだけですが、太陽の周りを回っている惑星は星座を形成している星々とは違って惑わすような動き(だから惑星と言われます)をします。

そして、惑星は自らが光っているわけでなく、月と同じように太陽の光を反射して光っているように見えるだけです。

ただ地球からの距離が他の星と比べて文字通り天文学的に近いので明るく輝いて見えます。

特に太陽に近い金星、火星、木星、土星(土星ははちょっと暗いけど)は夜な夜な星を眺めていれば、すぐに見つけられるようになってきます。

 

撮影する際には、月と比べるとかなり小さいので、できるだけ大きく撮影するために僕は「カメラを変える」という方法を選んでいます。

ニコンの場合、フルサイズ、APS-Cの下にNikon 1というシリーズで1型のセンサーを搭載したミラーレスカメラがあります。

フルサイズのイメージセンサー(撮像素子)でなければダメなのか?

センサーが小さいので、月の写真の時よりもふた回りくらい撮影範囲が狭くなることが理解できますか?(レンズではなくカメラ(センサーサイズ)を変えても写る範囲が変わるんです

このセットだと35mm換算で2700mm相当になります。

 

木星を視野に入れたらあとはピントを合わせれば、すぐに4つの衛星があることを確認できます。

初めてだとこの時点で結構嬉しい。

ただし、視野がとても狭いので、写っている星々は画面内を想像以上に速く移動します。(これが地球の自転スピードです)

Nikon1 V3&天体望遠鏡(マニュアル露出,f/-,1/10,ISO6400)

実際には木星には70個くらい衛星があります。

中でも僕が持っているようなレベルの望遠鏡で見えるのは「ガリレオ衛星」と言われる4つの大きな衛星です。(イオ・エウロパ・ガニメデ・カリスト)

これらの衛星は木星の周りを回っているので、見るたびに衛星の位置が変わるのも観察していて楽しいです。

 

ところで木星には衛星があること以外、表面に縞模様があることも知られています。

なので僕は、木星を撮影する時には肉眼では確認できない表面の縞模様の撮影もしてみるようにしています。

ただ、空気のゆらぎの影響を受けるので綺麗に模様が撮れることは少ないです

いつも何枚もシャッターを切って撮れたり撮れなかったりです。

そして空の条件が良くて比較的綺麗に撮れるとこんな感じになります。

Nikon1 V3&天体望遠鏡(マニュアル露出,f/-,1/100,ISO160)

ネットなどでよく見る絵のような美しい木星の写真は、高価な機材と高度な技術を使って何枚もの写真を合成していますので、そんな写真には遠く及びません。

でも趣味として自分の持ち合わせの道具を駆使し、試行錯誤を繰り返してやっと撮れた縞模様なので自分としては嬉しいものなんです。(期待外れの写真だったらスミマセン)

ちなみにこの写真は画像が荒れない範囲で最大限拡大(100%表示でトリミング)しています。

実際にはどのくらいの大きさで撮れるのかをお見せしましょう。

 

こんな感じです。

Nikon1 V3&天体望遠鏡(マニュアル露出,f/-,1/100,ISO160)

実際に撮影する際には画面にはこのくらいの大きさで写っています。

もちろん肉眼で観察する時にもこんな大きさですが、肉眼の場合にはもっとずっとシャープに見えてます。(なので実は写真よりも自分の目で見る方がオススメ)

 

他にも今までに撮れた他の縞模様も少し紹介します。

Nikon1 V3&天体望遠鏡(マニュアル露出,f/-,1/125,ISO160)

 

Nikon1 V3&天体望遠鏡(マニュアル露出,f/-,1/120,ISO800)

 

星の写真は空の状態(空気のゆらぎなど)に大きく影響を受けますので、日頃から条件が良い時にはすぐに撮影できる心構えを持っておくと良い結果を得ることが多いと思います。

 

最後は細い月と木星が近づいたタイミングで撮影した「月の地球照と木星の衛星」の写真。(これはトリミングしていません)

Nikon1 V3&天体望遠鏡(マニュアル露出,f/-,1/4,ISO3200)

思い出の一枚【スーパー・ブルー・ブラッドムーン】